いかなる交渉でも、タイミングを見逃してしまうと実行しづらくなるでしょう。
それでは、どんな点を理解して交渉したら大丈夫かというと、とにかく「景気回復への対応」の一環ということで引き下げ交渉を始めるべきではないでしょうか。
近頃は不良債権の処理に見通しが付いたとか、会社の実績が上昇してきたとか、ペイオフの開始で銀行が落ち着いてきたなどと言われています。
また、経済が底入れしたとか、立て直ししたとか、上昇継続だとか、薄日が射してきたとも言われています。
すなわち、経済状況に明るい兆候が見えてきたという感じと楽観的な見方があります。
経済状況が立ち直ると、いまでさえ引き下げ請求に関して抵抗感、敬遠姿勢を持っている借主は、「そんなにも行わなくてもいいだろう」という思うでしょう。
という訳で、いますぐにでも速やかに「引き下げ請求」の取り組みを始めないと、チャンスを逃してしまいます。
これまでのパターンでもわかるように、交渉の機会を失うと莫大な損害がでてしまいます。
無意味なコストの垂れ流しが続くことになります。
現在の経済状況での対応は?
経済状況が改善されてきたと感じている一方では、さきにも述べたように「こんなのは大企業だけの話だ」というネガティヴな意見もあります。
まだこの先不透明で、国中の内需拡大策も見つけられない状態のもとで、雇用なき景気底離れとも思われています。
また、生産拠点の国外シフトは進み、工場が次々と輸出されています。
国中の生産活動は削減され経済規模も増大しません。
当たり前のように収入は減少して、消費は低迷状態から出ることができないでしょう。
統計にでてこない失業者も急増しています。「地銀」や「信金」の金融形態も不安定です。
中小の企業や地方経済も今もなお低迷してるのです。深い水面下から少し浮上した状況です。
引き続き瀬戸際で正念場が続くでしょう。
「実体経済」はシビアなのが実情といえます。
近頃では、国民も長期不況に慣れてしまったようです。
バブル経済崩壊後に社会人となった大学新卒者が、もう35歳前後の中堅社員になったのです。
解雇の対象であるほど時間が経ちました。
これからも会社の維持ができるのかというと、まだまだ安心はできない経済状況が続いています。
業績は向上しない、雇用は不確か、収入はマイナス傾向と、現実はこのとおりなのです。
という訳で、すぱやい引き下げ請求をして、コストを削減して生き続ける方法を考えていくことが要求されます。
借主のも注目するようになってきました
以前に「最高裁」の判例を紹介しましたが、今では法的にも賃貸料は引き下げできる社会にあります。
賃貸料訴訟は増えました。
西武百貨店、高島屋、ダイエー、安田生命保険、丸井、住友不動産、三井物産など、メジャー企業の借主が新聞紙上を賑わしています。
2005年2月におこなわれたセミナーでは62人が参加、また「賃貸料値下げ相談」では多くの方が来られ、具体的な相談件数は45件にものぽりました。
前の年と比較すると3倍増です。
それほどまで借主の意識が高まってきたということです。
借主の意識が遅ればせながら変わってきたのです。
賃貸料引き下げは注目が集まりつつありますが、こういった初歩的なことが、まだ借主に認知されていないのが実情なのです。
賃貸料引き下げによる経費削減の余地が残っていることを裏付けしています。
一方、貸主側の意識も変わりつつあります。
引き下げを受け入る認識がでてきたのです。
長期的な不況で引き下げのニーズを把握できる状態になってきたのです。
デフレが十数年続いている今となっては、安定収入源を持っている貸主にも経済状況の変化が浸透してきました。
貸主も苦痛をわかりつつあります。
実例にでてきた「飲食店」の貸主のように、都会のビルなどのケースは空室対策がどんどん進行中です。
また、駅前ビルの「居酒屋」のケースのように、募集賃貸料の表面化で貸主は話し合いに応じるようになりました。
特にオフィスビルや賃貸住宅などで、貸主側の意識と理解は進行しつつあると感じます。