横浜中華街

不良資産の処理と賃貸料の支払い方法

神奈川県のある中華食堂は、4階建てビルの1階と2階の計90坪を、賃貸料が毎月185万円でした。 1

982年から20年以上借りていました。その間には何回か賃貸料の値上げがありました。敷金は500万円です。

中華食堂の借主は2004年、月間150万円の賃貸料引き下げを申し出をしました。 

しかし、貸主は、「借入金の支払いがある」ので賃貸料を下げることを断られてしまいました。

不良資産を売りに出す

借主に相談をされ、状況を調査するため、貸主の「土地謄本」から共同担保目録も目を通しました。 

すると、貸主は湘南エリアに土地を持ってることが確認できました。1995年に1億7000万円で300坪の土地を手にしていたようです。

すでに7000万円の支払いは済んでいますが、あと1億円の支払いがありました。

借入金の支払いはそのことだったのです。 

購入は、生命保険会社にすすめられたようです。

土地の価格が下がったからいわれ、貸主は賃貸料を頼りにして買入れました。

後になって貸主が話をしてくれたのですが、この土地の支払いが、いつも頭から離れず、心理的に暗い日々を過ごしていたとのことです。 

この案件は、貸主の問題をクリアしていかないといけません。

貸主のこれからの事を考えて、このタイミングで適切に対処すればこの先金銭的にも心理的にも楽になります。 

借主は持ちつ持たれつの方向で交渉を心がけて、貸主のライフプランを再構築するという点から、提案をしました。

・ビルの空き室に、テナントを募集する。

・持っている土地の値段は2分の1以下に下がっており、不良資産になっているので売りに出す。

・貸主のコストをできる限り削減する。

1年にかけて話し合いの時間を持ち、貸主はこの提案を受け、次にあげるような結果となりました。

・ビルのリフォームに450万円ほど費やしてテナントを取り入れた。良いテナントが入り、月65万円の賃貸料、敷金300万円で取り交わした。

・土地を売り払い、借入金を減らした。

・会計事務所の顧問料、月3万円を削った。伝票処理を簡易化し、決算時のみ依頼する。

・不動産業者の管理料、年15万円を削った。この業者は身内で、正直なところ何もしていなかった。 

結果賃貸料は、借主の願いどおり、150万円に下げることができました。

貸主は土地を売ってしまったため資産を減らしてしまいましたが、返済が楽になり安心したそうです。

ライフプランを再検討することができたのです。貸主と借主は信頼関係も深まりました。

賃貸料を後払いに変えることも可能

ある「チェーン店」の案件ですが、日本国内に130のショップがありますが、このお店の特徴は大幅な賃貸料引き下げを狙わず、3年ごとに、全店が平均5%の値下げを目標にしているとところです。 

他の経費削減と同じ要領で、「事業計画」に連動させてプラン通りに賃貸料を引き下げるというわけです。 

大きな減額率は要求しないで、借主」は貸主の「投資回収」と「資金繰り」に配慮した方針に従いにすすめているのです。

また、貸主との意思の疎通を大切に考え、前から貸主と交流があった社員を担当にしていたそうです。

大変厳しい仕事内容ですが、担当者が同じだと経緯・経過がわかり、お互い信頼が築かれているからです。 

もちろん、担当者にも賃貸料変更のノウハウが蓄積されます。 

現在は2回目の引き下げ請求を全店で発展させています。

しかし、2回目の引き下げ交渉となるとそう簡単には進みません。

そこで、私は借主に賃貸料を全店「後払い」に変えるのを提案しました。

賃貸料の引き下げをあきらめたということではありません。

1ヶ月の賃貸料を、前払いから後払いに変えると、チェーン店トータルで大きい金額の資金が浮くきます。

例として、平均賃貸料100万円×130店=1億3000万円 になります。

この変更は「敷金」を預けているから、充分可能でした。 

賃貸料引き下げ請求の副産物?かもしれないのですが、ほんの少し見解を変化させただけで、億単位の資金を得ることが可能となります。

固定化している資産の流動化です。