銀座和光ビル

経営陣と担当者の意思統一が重要です

店を数十店舗、もしくは数百店舗営んでいる会社においては、賃貸料の値下げ額の合計は大きくなります。 

この不況の下では、経費の内容を根本的に変えることが戦いに勝利する条件でしょう。会社持続のためには、賃貸料の引き下げは必ず必要となります。

このポイントを経営陣(社長・役員)が強く意識し、意思統一をはかっておくことが大切となります。 

家賃や地代の引き下げ交渉をしていくには、「貸し主にお世話になっているから」とか「まわりの評判が悪くならないように、うまくやってくれ」といったあやふやな指示はしないことが大切です。

これはピントのずれた指示です。交渉する担当者もしにくくなってしまいます。 

これまでも話してきたことですけど、経営陣はこれからあげる項目程度は共通認識として共有してください。

経営陣に認識してもらいたい10のポイント

①賃貸料は経済状況が良い場合は増額、悪いときは引き下げができる。バブル崩壊後の経済状況下では、引き下げ請求が相当である。

②経費削減に「聖域」は皆無。チェーン店のケースでは、賃貸料は賃金に次ぐ第2の経費である。 残念なことに削減が進んでいない。

③賃貸料の引き下げは、業績へのデメリットは何もない。賃金、販促費、改装費、教育費等を抑えるとことごとく業績が低下する。
電気料を引き下げるため電灯を少々暗くしたり、販売コーナーの社員を少なくしたら客数が下伸びしたケースもある。しかし、賃貸料値下げは業績を悪くさせない。

④ 引き下げ交渉が遅くなってしまうと、「機会損失」が生じる。遅くなると取り返しがつかない。1年遅れると膨大な額になる。

⑤引き下げの成果は、業績の向上に威力を見せる。値下げ額の活用しだいで、「不振店」が活性化 される。

⑥賃貸料の引き下げ請求を禁止しない。賃貸料の値下げは後ろめたい行為ではない。不適正な賃貸料を変更 することである。

⑦会社内の1年での賃貸料合計額はいくらか、10%カットした場合、その合計額はいくらかを、役員や幹部社員がすぐさま見極める。
チェーンストアでは、お店の数次第では数億円、数十億円、数百億円の経費 削減となる。

⑧「経過報告会」を重要会議と位置づける。役員は必ず出席し関心を向ける。
賃貸料の引き下げは経営の大切な事業である。注目された担当者はやりがいが出てくる。

⑨大家との関係は、利益を分け合う運命共同体です。一方的に世話になっているわけではありません。

⑩調停・訴訟とは、裁判所に適正賃料の決断を託すことです。
ケンカや争いではありません。間違ったイメージと思い込みを脱ぎ捨ててしまう。 

ある有名店デパートのケースなんですが、大家と係争中であるにもかかわらず、営業面で良好な関係を維持している借主もいます。

賃貸料値下げ問題で訴訟になり、一審ではデパートサイドか勝訴しましたが、貸主が控訴して引き続き二審で係争中です。

まさに、裁判所に判断を任せているのです。 

今では、双方は一緒になってデパート内の改装プロジェクトを実施しています。

賃貸料は賃貸料、営業は営業と互いが割り切っています。敵対視することがなく、仕事として賃貸料問題を考えているからです。

プランと目標を設定しましょう

経営は「計画ありき」から何もかも開始していますが、賃貸料の引き下げに関しては、計画を立てて実施しているケースは少ないようです。                

ですが、賃貸料のコストに占める率は大きく、当然そのカットは会社にとって重大な課題です。

いい加減に取り掛かるような課題ではないのです。

賃貸料引き下げは、役員が責任の所在を明らかにして取り掛かるべき重要業務です。 

①「有言実行」を宣言すること。自分を追い込むことです。成功したケース、失敗したケースが積みたてられると、 それはノウハウとしてプラスになる。

②教育プランには、賃貸料修正と契約条件の修正業務はこの先も続くので、人材教育のために社内教育、セミ ナー参加、自己啓発、他の会社との情報のやり取りなどに予算をつける。

③人員プランには、専属の担当者を決めるのが理想的。兼業の場合は、時間の分担で対処する。
100店を1人で担当するのは困難である。そのものズバリ無計画です。
店舗の数と交渉 期間で人員の配置を決める。

④交渉期問、「次のプロジェクトにのせるために、全店を半年で」というふうに、期間をきっぱりと設定する。
短期集中型が目指す形。
特別支援組織を組んで重点的に実施するのもよい。

⑤引き下げ目標の設定には店舗ごとに、いくら下げるかを決める。
賃貸借のスタート日、不動産の値段など、店の取り決め条件はすべて違うので、おのおの決める。
その合算が目標の平均減額率になる。
経営陣は、次の項目を理解して賃貸料値下げ業務に取り組みたいものです。