六法全書

借地借家法とはどのような法律なのか

家やテナントを借りるとなった時に重要なのが「借地借家法」です。

これはいかなる法律で、なぜ重要なのかをお話したいと思います。 

民法の「契約自由の原則」では、対象者の意思を優先させるために、契約の内容は自由自在に決められることになっています。 

このことを不動産の賃貸借契約に当てはめるとどうなるか考えてみましょう。

例として、「子供が生まれたら明け渡せ」「大家が明け渡せと言ったら、すぐにでも出ていかないといけない」「賃料は一定期間経って行くごとに10%増額させる」など、大家の思いどおりの契約条件が適用されることになるのです。 

一方で、借りる方も自由に条件を提案することは可能ですが、大家は自分に有利ではない条件だったら拒みますから、契約は成立しません。

すなわち、民法の「契約自由の原則」は、経済的に優越的な立場にある貸主だけに自由の原則が該当することになります。

借主は絶えず安定しない条件の下で賃貸借物件を使用していく結果になってしまいます。 

そういうような、弱い立場である借主を保護するため作り出された特別な法律が「借地借家法」です。

というわけで、「借地借家法」は借主を保護する精神が深く取り込りこまれています。

「借主保護の強行規定」が多種多様にありますので、規則に反した「特約」は無効としています。 

不動産の賃貸借契約では、「借地借家法(特別法)」が優先的に適用され、同法の規定にない事項については民法(一般法)が適用されます。 

不動産の賃貸借の取り引きする際には、このポイントを絶対にわかっておくことが必要です。

地代等増減請求権

第11条(土地だけの賃貸借の場合)

①地代又は土地の借賃(以下この条項及び次条において「地代等」という)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。

ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

②地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。

ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払い期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

③地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。

ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過分に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

借賃増減請求権

第32条(建物の賃貸借の場合)

①建物の惜賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。

ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

②建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。

ただし、その裁判が確定した場合において、すでに支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払い期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

③建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。

ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

「借地借家法」の条文は上記です。

別ページにて借家借地法についての解釈をお話したいと思います。